2025年10月5日日曜日

メロディックマイナーとオルタードスケールと リディアン♭7スケールと裏コード

🎵 裏コードとリディアン♭7スケールの関係 ― メロディックマイナーから見た整理


知っている人は何をいまさら、なのでしょうが、ちょっと勉強してますので備忘のため。


はじめに

スケールの学習をしていると、「裏コード(トライトーン・サブスティテュート)」や「リディアン♭7スケール(Lydian dominant scale)」といった言葉に出会います。
どちらもドミナントの響きに関係するものですが、実はこの2つ――裏コードとリディアン♭7スケール――には、とても密接な関係があります。

この記事では、その構成音とスケールの共通点を整理し、
さらに「メロディックマイナースケールから導かれるモードの関係」までを確認してみます。


1. 裏コードとは?

通常、ドミナントセブンス(V7)はトニック(I)へと進行します。
しかし、V7と**トライトーン(増4度/減5度)の関係にある別のセブンスコードでも、
似たような解決感を得ることができます。これを
裏コード(♭II7)**と呼びます。

たとえば、CメジャーにおけるV7=G7の裏コードはD♭7です。


2. 構成音の比較

noteG7から見た度数D♭7から見た度数
G1♯11
A9♭13
B37
C♯(D♭)♯111
D5♭9
E13♯9
F73

こうして見ると、G7の音を並べ替えるとD♭7の構成音になることがわかります。
つまり、G7とD♭7はトライトーン(B–F)を共有しており、構成音レベルでは非常に近い存在です。


3. スケールで見るとどうなる?

G7に対して、しばしば使われるのが
G Lydian♭7スケール(=Gリディアン・ドミナントスケール)です。

これをD♭7から見ると、なんとD♭リディアン♭7スケールそのものになります。

  • D♭ Lydian♭7
    → D♭, E♭, F, G, A♭, B♭, C♭
    → D♭ Mixolydianに♯11を加えた形

このスケールには、テンションとして
♭9, ♯9, ♯11, ♭13が自然に含まれ、
「裏コードらしい」張りのある響きが得られます。


4. メロディックマイナーとの関係

実はこのスケール、
**メロディックマイナースケールのモード(派生形)**としても説明できます。

コード使用スケール元になるメロディックマイナー
G7altGオルタードスケール(7thモード)A♭メロディックマイナー
D♭7 Lydian♭7D♭リディアン♭7(4thモード)A♭メロディックマイナー

つまり、G7とその裏コードD♭7は、どちらもA♭メロディックマイナーを母体とするモードです。
違うのは「どの音から始めるか」だけ。

AMelodic Minor │ ├─ Mode 4DLydian7(裏コード) └─ Mode 7G Altered(元のV7

5. まとめ

観点内容
構成音G7とD♭7はトライトーンを共有し、転換可能
スケールD♭7のスケールはG Lydian♭7と一致
メロディックマイナーとの関係どちらもA♭メロディックマイナーのモード
実践的意義オルタードテンションを自然に含み、アウト気味のサウンドが得られる

💬 おわりに

スケールの暗記を進めるうえで、「母体となるメロディックマイナーを意識する」ことはとても有効です。
裏コードとリディアン♭7スケールの関係を理解しておくと、
即興演奏でのテンション選択がぐっとスムーズになります。

「V7と♭II7は、どちらも同じメロディックマイナーから生まれた兄弟」

――この一文を、スケール練習のキーワードとして覚えておくと良いでしょう。

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