🎵 裏コードとリディアン♭7スケールの関係 ― メロディックマイナーから見た整理
知っている人は何をいまさら、なのでしょうが、ちょっと勉強してますので備忘のため。
はじめに
スケールの学習をしていると、「裏コード(トライトーン・サブスティテュート)」や「リディアン♭7スケール(Lydian dominant scale)」といった言葉に出会います。
どちらもドミナントの響きに関係するものですが、実はこの2つ――裏コードとリディアン♭7スケール――には、とても密接な関係があります。
この記事では、その構成音とスケールの共通点を整理し、
さらに「メロディックマイナースケールから導かれるモードの関係」までを確認してみます。
1. 裏コードとは?
通常、ドミナントセブンス(V7)はトニック(I)へと進行します。
しかし、V7と**トライトーン(増4度/減5度)の関係にある別のセブンスコードでも、
似たような解決感を得ることができます。これを裏コード(♭II7)**と呼びます。
たとえば、CメジャーにおけるV7=G7の裏コードはD♭7です。
2. 構成音の比較
note | G7から見た度数 | D♭7から見た度数 |
---|---|---|
G | 1 | ♯11 |
A | 9 | ♭13 |
B | 3 | 7 |
C♯(D♭) | ♯11 | 1 |
D | 5 | ♭9 |
E | 13 | ♯9 |
F | 7 | 3 |
こうして見ると、G7の音を並べ替えるとD♭7の構成音になることがわかります。
つまり、G7とD♭7はトライトーン(B–F)を共有しており、構成音レベルでは非常に近い存在です。
3. スケールで見るとどうなる?
G7に対して、しばしば使われるのが
G Lydian♭7スケール(=Gリディアン・ドミナントスケール)です。
これをD♭7から見ると、なんとD♭リディアン♭7スケールそのものになります。
-
D♭ Lydian♭7
→ D♭, E♭, F, G, A♭, B♭, C♭
→ D♭ Mixolydianに♯11を加えた形
このスケールには、テンションとして
♭9, ♯9, ♯11, ♭13が自然に含まれ、
「裏コードらしい」張りのある響きが得られます。
4. メロディックマイナーとの関係
実はこのスケール、
**メロディックマイナースケールのモード(派生形)**としても説明できます。
コード | 使用スケール | 元になるメロディックマイナー |
---|---|---|
G7alt | Gオルタードスケール(7thモード) | A♭メロディックマイナー |
D♭7 Lydian♭7 | D♭リディアン♭7(4thモード) | A♭メロディックマイナー |
つまり、G7とその裏コードD♭7は、どちらもA♭メロディックマイナーを母体とするモードです。
違うのは「どの音から始めるか」だけ。
5. まとめ
観点 | 内容 |
---|---|
構成音 | G7とD♭7はトライトーンを共有し、転換可能 |
スケール | D♭7のスケールはG Lydian♭7と一致 |
メロディックマイナーとの関係 | どちらもA♭メロディックマイナーのモード |
実践的意義 | オルタードテンションを自然に含み、アウト気味のサウンドが得られる |
💬 おわりに
スケールの暗記を進めるうえで、「母体となるメロディックマイナーを意識する」ことはとても有効です。
裏コードとリディアン♭7スケールの関係を理解しておくと、
即興演奏でのテンション選択がぐっとスムーズになります。
「V7と♭II7は、どちらも同じメロディックマイナーから生まれた兄弟」
――この一文を、スケール練習のキーワードとして覚えておくと良いでしょう。
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