2025年10月5日日曜日

イラスト作成でのChatGPTの得意・不得意を見分ける

 

ChatGPTの得意・不得意を見分ける ― 猫のイラストから見えたこと


先日、ChatGPTに「いらすとや風の猫」を描かせてみました。
すると驚くほど「いらすとや」らしさが出ていて、人間の目から見てもかなり納得できる仕上がりでした。ちなみに、本家「いらすとや」からダウンロードした「バスケットボールをするネコ」はこちら


では「ジブリ風」「ディズニー風」ではどうか?

完全ではないけれど、雰囲気は出ている。
「シュルツ風(スヌーピーの作者)」では?
ちょっと違いますね。
さらに、手塚治虫風・さざえさん風では。
手塚治虫風では、全体の輪郭はともかく、少しすました座り方をする前足、瞳の描き方、横目になっている目のようすが手塚治虫の画風を伺わせます。
一方、「サザエさん風」では、いらすとや風に寄ってしまいました。イラスト界、生成AI界における「いらすとや」さんの偉大さ、影響力が伺えます。さざえさんを凌駕しているのですから。また、ジャングル大帝はじめ動物ものを描いている手塚治虫に比べ、サザエさんの作者長谷川町子およびそのアニメ化後のキャラクターとして流布しているネコの画像は限定的であると想像できます。シュルツ風も雰囲気が出ませんでしたが、シュルツが描くのはネコではなくイヌですから。

この実験から見えてきたのは、ChatGPTが得意とする領域は、ネットにどれだけ大量に流布しているかで決まるということです。

得意・不得意のパターン

議論を整理すると、おそらくこういうことだと思います。

  1. 古い作品 × ファン多い → 得意
     例:クラシック音楽、浮世絵、夏目漱石やシェイクスピア
     (著作権が切れており、ネットに大量の資料がある)

  2. 新しい作品 × ファン多い → 中程度
     例:ジブリ、ディズニー、村上春樹
     (著作権で厳しく管理されているが、二次資料や解説が豊富)

  3. 古い作品 × ファン少ない → 弱い
     例:無名の明治作家や地方歌謡
     (著作権は切れているが、データが少なく再現度は低い)

  4. 新しい作品 × ファン少ない → ほぼ不可
     例:マイナーな現代小説、同人音楽
     (流布も少なく、AIが学習していない)


活用の指針

この分類から導ける実用的な指針はシンプルです。

  • 画風を二次創作に活かすなら「古い+ファン多い」ゾーンを狙う
     (例:漱石の英訳教材、クラシック音楽の和声分析、北斎の浮世絵解説)

  • 雰囲気だけで良いなら「新しい+ファン多い」ゾーンをうまく使う
     (例:「ジブリ風のイラスト」で子ども向け教材を作る)

  • マイナー領域は人間が一次資料を調査し、AIは補助にとどめる


まとめ

猫のイラストから始まった実験は、最終的に「ChatGPTは世界のデータ分布を映す鏡だ」という結論に行き着きました。
つまり、AIを使いこなす鍵は、どのゾーンが得意で、どのゾーンが不得意かを見極めることです。

ChatGPTを活用するとき、このマッピングを参考にしてみてください。

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